AED基礎知識

寒いとAEDは使えない!?氷点下の環境にAEDを設置することはできるのか

AEDは日本中のあらゆるところに設置してありますが、AEDにも弱点があります。
それは「寒さ」です。
AEDの説明書には使用環境条件として使用可能な温度帯が明記されています。
そして多くのAEDは「0℃以上」が使用環境とされ氷点下での動作が保証されていません。
過去に、自宅で倒れた男性に対して氷点下の環境で救急隊員がAEDを使用しようとしたものの動作せず男性が亡くなってしまったことがありました。
寒い地域では心臓に負担がかかりやすいので、AEDの必要性は高まる一方で必要な時に使用できないと困りますよね。
しかし、氷点下の環境でも事前の準備があればAEDを使うことができます。

氷点下環境での対策

氷点下環境での対策は「温めておく」ことです。
AEDが氷点下になると動作しなくなるのは、電子部品、特にバッテリーが動作不良を起こしてしまうことが原因です。
さらに、電極パッドのジェルが凍り付いてしまうことで身体に貼りつかなくなってしまうこともあります。

ところがNHKが行った実験によると、

今回、NHKでは3通りの実験を行い、寒さに弱いAEDの確認と、寒さの中でも使える可能性を探りました。

実験結果です。
(※いずれもメーカーが正常な動作を保証する範囲外での環境下で行っています)

①氷点下20℃に1時間を超えて放置するとどんな不具合が出るか
・バッテリーが少ないという表示が出ました。
・バッテリーがないので交換しないと使えないという音声案内が流れました。
・AED内部の温度センサーが働いて「使えない」という表示が出ました。
・AEDの音声案内が不要なのに止められなくなりました。

②常温で保管していたAEDは、氷点下10℃で使えるか
・ 5分後、すべて作動しました。
・10分後、すべて作動しました。
・15分後、すべて作動しました。
・30分後、すべて作動しました。

③常温で保管していたAEDは、氷点下20℃で使えるか
・ 5分後、すべて作動しました。
・10分後、すべて作動しました。

寒さに弱いAED 氷点下で命を救うには | 健康 | NHK生活情報ブログ:NHK <http://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/400/205826.html>

そのためAEDは普段暖かい場所に保管しておく必要があります。

どうやって温めるか

暖房器具で温めておく方法もありますが、おすすめなのはヒーター機能付きケースに保管することです。
周囲の環境に左右されないので、どこにでも設置できるメリットがあります。
さらにケースの扉を開けるとアラームが鳴り、周りの人に緊急事態が発生したことを伝えたり、いたずらを防止したりといった機能もあります。

必要な時に必ずAEDが使えるように適切な保管方法を考えることが重要です。

訓練用AED(トレーニングユニット)って何?機能と価格を調べてみた

訓練用のAEDは電極から電気が流れないだけで、本物のAEDと同じように使用することができます。。
さらに、複数のシナリオが用意してあり、電気ショックが必要な場合と不要な場合、回数の指示など様々な状況を想定した訓練ができます。

本物では訓練できないの?

仮に本物のAEDで訓練をするとなると、マネキンを対象に行うと心音を感知できないので作動せず、人の身体を対象にしても当然正常に心拍をしているので作動しません。
そのため、実際の状況を想定した訓練することができません。
加えて、電極パッドは使い捨てなので本当に必要な時のために使えなくなってしまいます。

気になる価格は?

値段は様々ですが、7万円程度から購入することができます。
本体に加えて別途購入するのは手間だと思われるかもしれません。
しかしAEDを導入しても、日ごろから訓練を積んでいないと必要なときに適切にしようすることが難しくなってしまうので、訓練用AEDの購入もおすすめします。

トレーニングキットを借りたい場合は…

また、以下で紹介するAED専門店では、AEDの普及促進を目的にトレーニングキットの無料貸出も行っているようです。AEDを購入するだけでなく、店舗やオフィスの従業員がAEDの使い方を知っていてこそいざというときに命を助けられます。AEDの購入前後には、トレーニングキットを使っての講習の実施をするとよいでしょう。

AEDの小児用パッドって何?

AEDには人体に貼り付ける電極パッドとして「成人用パッド」と「小児用パッド」が同梱されているものや、成人用と小児用を切り替えるスイッチがある場合があります。
成人用と小児用で何が違っているのか。成人用を子供に使うことはできないのか。
AEDを購入する際にも、使用する際にも疑問ですよね。
その違いは、AEDから流れる電気のエネルギー量の違いにあります。

成人用と小児用の違い

成人用のAEDから流れるエネルギー量は150~200J(ジュール)です。1Jが小さめのリンゴを1m持ちあげるだけのエネルギー量、その150~200倍ということです。
よく、映画やドラマで心臓に電気ショックを与えるシーンがあり、それはいくらか誇張されていますがあの程度のエネルギーがあります。
小児用のパッドをつける、またはスイッチを切り替えるとAEDから流れるエネルギーが50Jまで減少します。
エネルギーが強すぎると小児の心筋を損傷してしまう恐れがあるためこのような措置がとられています。
ただし、パッドが見当たらず切り替えスイッチもわからないなど、どうしても小児用に切り替えることができない場合には成人用のもので使用することが認められています。
逆に小児用の状態で成人に使用しても効果が期待できないので使用すべきではありません。

対象年齢

では、「小児」とは何歳までの子供をさすのでしょうか。
JRC蘇生ガイドライン2010によると、0歳~未就学児(およそ6歳)が小児用パッド、または小児用に切り替えて使用する対象とされています。
そのため、未就学児が多くいる場所、特に幼稚園や保育園などは小児用で使用できるAEDが必要です。

小児用パッドを用意する価値

AEDの製品によりますが、おおむね2万円前後で交換用の小児用パッドが販売されています。
交換するための期限は製品も2年半程度です。それでも、小児が多くいる場所では適切に交換しておかないと、いざという時使用することが出来ず最悪の事態を招いていしまう可能性があります。

そのため、幼稚園や保育園などのように小児が多い環境では、最初から「小児用スイッチ」が搭載されており、小児用パッドを使う必要が無いAED製品を選ぶのをおすすめします。

ペースメーカーの人にAEDって使えるの?

プール監視員をしていた際、AEDについての疑問として「ペースメーカー装着者に使っても大丈夫?」ということをよく聞きました。

まず結論から書きますと、いくつか注意点があるものの使用しても問題ありません。本記事では、そういったケースでも正しい対応ができるようにするために、ペースメーカーについての説明と装着者に対するAEDの使用方法について解説します。

そもそも、ペースメーカーとは?

健康な心臓は規則的なリズムで動いていますが、そのリズムが崩れてしまっている(不整脈)方がいます。その方の心拍のリズムを正常化するために体内に埋め込む装置がペースメーカーです。

最近のペースメーカーは小型化が進み5cm程度の大きさで、目立たなくなっていますが、もし左胸に不自然なふくらみがあれば、ペースメーカーの装着者である可能性をまず考えましょう。
ちなみに、平成24年に行われた総務省調査によると、日本国内のには累計で30~40万人の装着者いると推計されています。300人~400人に1人の割合で存在すると考えれば、ペースメーカー装置者であることの確認はしたほうがよいといえるでしょう。

ペースメーカー装着者へのAEDの使用法

ペースメーカー装着者に対してAEDを使用する場合は、数cm ペースメーカーから離して電極パッドを貼れば問題ありません。

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日本救急医学会 市民のための心肺蘇生より)

ただし、通常の場合AEDの電極パッドは胸の右上と左の脇腹付近に貼った状態で使用するので、ペースメーカー装着者かどうかに関わらずAEDの案内にしたがって使用できます。

しかし、まれに右胸にペースメーカーを装着している方がいたり、右胸に傷があるなど何らかの理由で左胸に電極パッドを貼れなかったりする場合が想定されます。その場合には、ペースメーカーがありそうな膨らみの位置から数センチ離して電極パッドを貼って使用する必要があります。

AEDは心臓を挟み込むように電極パッドを貼ることで機能するので、逆の位置にに貼っても有効に機能しますので安心して救命活動を行ってください。

子どもが多い海やプール、運動中の事故に備えるためのAED

夏になると海やプールなどで子供が意識を失い、そのまま重体もしくは死亡するといったニュースがが必ずと言っていいほど発生しています。

2013年夏に発生した573件の水難事故のうち118件は中学生以下の子供の事故です。

(出典:警察庁生活安全局地域課「平成25年夏期における水難・山岳遭難発生状況について」)

また、水難事故だけでなく、運動中に心停止状態になってしまうケースも多数報告されています。こうした運動中の事故や発作の発生自体を防ぐことは難しいかもしれませんが、もしも、救助後の対処が適切に行われていれば命を救うことができたケースも多くあったかもしれません。

厚生労働省が推奨するAED設置箇所

AEDの設置箇所について、厚生労働省は

1,心停止の発生頻度が高い

2,心停止のリスクあるイベントが行われる

3,救助の手がある/心停止を目撃される可能性が高い

4,救助隊到着まで時間を要する

(AEDの適切配置に関するガイドライン)

といった箇所に設置を考慮すべきと提言しているます。

導入する際には子供にも使用可能なAEDか確認を

ただ、子どもが多くいる場や施設であれば、どんなAEDを導入してもよいというものではありません。AEDを子どもに使用する場合、機器本体に小児モードがついておらず、小児用パッドを利用する必要があるものがあります。導入の前には、子どもに使用することができる機器か、そのための付属品を含めた値段になっているかなどを必ず確認して、適切なものを選択しましょう。

特に、スポーツ施設やレジャー施設、学校は注意が必要で、小児用のパッドが必須になることでしょう。他にも、駅や空港などの交通施設は移動に不慣れなお子さんにとって多大なストレスがかかり、心臓に負担がかかった結果AEDが使われる事態が発生することも考えられます。

まとめると、

  1. スポーツ施設やレジャー施設、学校などの子供人数が多く、心停止の発生可能性の高く、リスクの高いイベントが行われる場所
  2. 駅や空港などの交通施設とった、不慣れで体に負担がかかってしまい、心停止の可能性がある場所

は小児にも利用ができるAEDを導入することをおすすめします。

 

予備自衛官補が教える役に立つCPR(心肺蘇生法)動画3選

心肺蘇生法やAEDの使い方、何度訓練しても、いざという時に忘れていては役に立ちません。とはいえ、何度も講習を受ける時間もないのが普通です。そこで、YouTubeから、心肺蘇生とAEDの使い方をレクチャーしている動画を探してまとめました。

今回、数多ある解説動画の中から動画を探すにあたり、知人の「予備自衛官補」に協力してもらいました。予備自衛官とは、普段は民間人であるものの、有事の際に呼び出しがあれば、いつでも自衛官として動けるよう毎年トレーニングを積んでいる、いわば緊急事態のプロともいえる存在です。そんなプロがおすすめする、救命処置をする可能性があるなら見ておくべき動画3選です。

【日本赤十字社】一次救命処置(BLS)~心肺蘇生とAED~


日本赤十字社公式動画です。少し長いですが、キホンの動作を丁寧に説明してくれています。この動画を見て普段からイメージをすることが1人の命を救うことに繋がるのです。

 

心肺蘇生法(小児の場合)


今度は傷病者が子供の場合の対処法です。子供相手だと勝手がいくらか大人とは違いますね。骨格が弱い子供に強く心臓マッサージをするのは気が引けてしまうこともありますが、恐れずにやることが必要です。

 

Bondi Beach Rescue – Real Life CPR & AED


最後は実際に人を対象にした心肺蘇生法です。英語ですが、上記の動画をご覧になった後ですと何が行われているかわかると思います。どんなに人形で訓練を積んだとしても実際に倒れている人を見るとひるんでしまうそうです。そうならないためにも、「人命を救助するんだ!」という強い気持ちをもって救助にあたりたいですね。

これらの動画を見る限り、心肺蘇生法をいとも簡単に行っているように思えますが、それは日ごろの訓練の賜物です。緊急事態を想定して、日々訓練をすることが人命を救助することにつながります。大きなイベントがある前の日などには、せめて、こうした動画などを見てイメージトレーニングをして備えておくことで、万が一のときに大きな差になります。

AED(自動体外式除細動器)とは

AED(Automated External Defibrillator)とは、突然心停止状態となった心臓に対して、除細動(電気ショック)を与えることができる医療機器です。AEDによる除細動は胸骨圧迫と人工呼吸からなる心肺蘇生法(CPR)と共に一時救命処置の一環を担っています。AEDは医療従事者ではない一般市民でも使用できるように設計されており、音声のガイドに従って簡単な操作を行うと、心肺停止傷病者の心電図を自動解析し、「心室細動」・「心室頻拍」の人のみに除細動を行う機器となっています。

AEDは正しい一次救命法を学べば、誰にでも扱える機器

かつては医療従事者のみが扱うことを許されていたAED機器ですが、2004年7月より一般市民も使用が認められるようになりました。現在一般向けに販売・レンタルされているAED機種は、医療従事者でなくても扱えるように工夫して設計されています。ボタンは3つ程度となっており、音声のガイドが次に行うべき操作を案内してくれます。資格も不要で、機器の操作自体に難しい点はありませんが、心肺蘇生法を含めた一次救命のセミナーを受講することが理想です。

一時救命法(Basic Life Support)とは、胸骨圧迫と人工呼吸からなる心肺蘇生法(CPR)、そしてAEDの使用を主としたもので、救急隊や医師に引継ぐまでの間に行う応急手当のことです。正しい知識と適切な処置の仕方を学んでいれば、誰でも行うことができます。一次救命法の手順を学習し、トレーニングしておくことが大切です。

AEDは心電図の解析を行い、必要な人にのみ除細動を与えることができる

音声ガイダンスに従って胸部の適切な位置にパッドを貼り付け等を行うと、AED機器が心電図を解析し、除細動が必要かどうかを判断する仕組みになっています。不要であれば、ボタンを押しても除細動されません。除細動が不要な人に対して誤って除細動を与えてしまうという心配はありません。AED機器が必要と判断した場合には、その人は心室細動か無脈性心室頻拍で危険な状態であり、直ちに除細動を行うべき状態であるということになります。

「心室細動」・「心室頻拍」の場合、一刻も早く除細動を

AEDは心停止のうち、最も一般的な原因である「心室細動」・「心室頻拍」に対して有効な治療法です。これらに陥ると心筋の不規則な痙攣で全身に血液を送り出せなくなり、脳や臓器に血液が届かなくなる時間が長いほど、死亡・後遺症のリスクが上がります。

「心室細動」・「心室頻拍」の場合は、一刻も早く除細動を施行することが必要です。「心室細動」・「心室頻拍」を起こした場合には、1分経過するごとに助かる確率が7~10%減っていくといわれているためです(AHA 心臓蘇生救急心血管治療のための国際ガイドライン より)。平成26年版 消防白書によれば、救急車が呼ばれてから現場到着までにかかる時間の平均は8.5分とされています。救急車の到着前にAEDを使用した場合には、救急隊員や医師が駆けつけてからAEDを使用するよりも、救命率が数倍も高いことが明らかになっています。

心停止が発症した場合には、救急車が到着する前に傷病者の近くにいる人が直ちに適切な一次救命を実施することが重要となります。